前回からの続きです。

魅力③―邦楽史に残る詩


そうだ 冷えたビールを飲もう
金と黒のラベルで選んで できるだけ一息で
あぁ あぁ あぁ あぁ 生きてるって感じ


これだ。あぁ あぁ あぁ あぁ 生きてるって感じ だ。

冷えたビールを飲んで幸せのため息を漏らすこと。これが生きていることなんだ。とてもありふれた、あまりにありふれた描写である。が、こんなにもすっと心に侵入してくる詩はない。するすると潜水の世界に引き込まれていく。


生ビールといえば、「かーっっ!!」であり、「くーっっ!!」であり、「爽快」であり、「のどごし」であろう。

しかし桜井伝道師は、「そうだ」であり、「あぁ、あぁ、あぁ」であり、「生きてるって感じ」であり、「潜水」なんである。

金と黒のラベルということは、北海道の地名がついていて星形のマークが描かれているあのメーカーのビールだろう。

邦楽史に残る詩だ。


魅力④―スターが見せるこそばゆさ


調子よさそうだねって言われたら
そんな気もしてくる
畳んでおいた羽が開きそうになる



十億円の豪邸を立てたといわれるお方である。

「あ、なんか桜井さん今日調子よさげっすね!」

「あ、ほんとにー? ちょっと寝不足気味だったけど、そういわれたらそんな気がしてきたな。ありがとー。」


調子よさそうですね。なんて新生児でも新社会人でも言える社交辞令だ。それを素直に受け取る純朴さ。そして確かに調子いいかもなーなんて思ってあんまり覚えてないやとか彩りとか通り雨とかいう至至極極(至極の二乗の表現)(いまつくった)の曲を作ってしまうのだ。

教訓が生まれた。社交辞令も言っとくべき。である。





魅力⑤―ジャック・マイヨールは海に還る

歌詞から曲について焦点を移す。

この曲は全体をを通して同じテンポが貫かれている。もちろん、潜水というタイトルとマッチするためだ。潜水とひとくちに言っても、ひたすら長く水につかるのか、進みながら長く進むのか、ひと呼吸で進んだ距離を競うのか、進める深さを競うのか。様々な潜水がある。


ダイビング界のマイケル・フェルプスことジャック・マイヨールは55歳の時点で深さ105メートルまで潜るという偉大な記録を達成した。彼は2001年に鬼籍に入られたが、そのお骨はトスカーナ湾へと散骨された。

潜水は孤独だ。そして音のない世界だ。言葉を発することができない。

澄んだ水の中 潜水で泳いで
苦しくたって できるだけ できるだけ
遠くまで あぁ あぁ あぁ

これはメタファーなのだろうか。人生をあらわす比喩というのは数多く存在するが、潜水という表現も存在したようだ。


終わりに


この曲の最後は La La La の大合唱である。なんとも壮大な。走馬灯のBGMのようではないか?僕はそう思った。死ぬ前によみがえってくる記憶とともに、この曲が流れている画を、僕は容易に想像できる。

潜水とはあるいは、三途の川を渡るときに流れている音楽のことなのかもしれない。I♡Uのアルバムの最終を飾るこの曲。

そんな途方もないこと考えず、明日プールに行って泳いで、金と黒のラベルのビールを飲んで、わかりやすくてすてきなしあわせを味わうのがいいかもしれない。


おわり



カテゴリー: I♡U

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